バンコクとタイ家族のこととくだらない話と

タイ在住歴20年のライター・高田胤臣の個人的なブログ

そういえばウルトラマン

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アユタヤのワット・パナンの大仏。

 ウルトラマン、あるいは円谷プロとタイは深い関係がある。タイの特撮スタジオのエラい人が、円谷さんにタイの仏像をモチーフにしたヒーローを提案し、それがウルトラマンになったという話だ。どこまで本当か知らないが、言われてみれば確かにそんな感じがする。タイの仏像は、一応宗教美術として成立しているみたいで、年代によって顔つきや手の向きなどが違うのだとか。だから、すべての仏像に共通しているわけではなく、ある一部の仏像がウルトラマンっぽいと言えばそうなのだ。

 そのタイの特撮スタジオはアユタヤの近くにある。ドンムアン国際空港から北上して行き、サラブリや東北地方方面と北部に行く国道の分岐点辺りにある。バンコクから行くと、北部に行く分岐点バイパスの左側にあって、門の前にはウルトラマンのデカい顔だけのオブジェがある(はず。最近見ていないから、まだあるかわからない)。

 ところが、そのあたりで権利のもめごとが起こっているとかで、放映権だったかグッズ販売の権利で円谷プロとタイ側で訴訟問題になって、なんかこじれているんだよね。もう何十年も前からの話だけど。

 結局のところ、その仏像がモチーフというのはあとづけなのかなんなのかで、裁判になっていたのは商用権らしい。ごちゃごちゃになっているのが、契約書の有無などなんだが、タイ国内ではタイのスタジオが敗訴して、日本では勝訴しちゃったことだ。日本国内では海外の商用権利が円谷プロにないのに、タイではタイの特撮スタジオにその権利はないって。そのあたりはウィキペディアに詳しい。

 

チャイヨー・プロダクション - Wikipedia

 

 タイではウルトラマンは昔から放映しているのでみんなが知っているヒーローではあるが、中にはやっぱりタイの仏像をモチーフにしていると信じている人も少なくない。

 そのためか、去年かな、タイの美大生が仏像の絵をウルトラマンにして大炎上となったことがある。学長クラスまで出てきて謝罪するハメになったのだが、タイ人は案外保守的なところがあって、こういう信仰やタイ人のプライドを傷つけられると過剰に反応する。

 こういうときは日本と同じで、正しいか正しくないかは別として感情の正負のうち多い方が正義になる。そして、その正義の元であればなにをしてもいいというような風潮になる。この美大生の場合はネットやマスコミの大炎上で済んだが、場合によっては殺人などにも繋がる。よくあるのが、子どもの性犯罪などで、現場検証に近隣住民が集まってきて私刑にすることがある。タイなんかは重大事件の場合、犯人が防弾チョッキで完全防備の上、護衛されながら現場検証するなんてよくある。

 時代的にオレなんかがウルトラマンに馴染みがないが、今もこうしてシリーズは続き、かつ外国でも話題になる。ライターとしてはこういう仕事をしたいもんだなって思うわけで。