バンコクとタイ家族のこととくだらない話と

タイ在住歴20年のライター・高田胤臣の個人的なブログ

ホルマリン漬け

 ちょっとグロな画像を。シリラート病院の通称「死体博物館」の病理解剖標本室にある、巨頭の赤子のホルマリン漬けの画像。

 ちなみに1枚目は2019年撮影、2枚目は1998年に撮影したものだ。

 

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 置いてある場所も変わっていないし、何年かに一度メンテナンスしているはずなんだが、それでも全然変化しない。ホルマリン漬けってすごいな。

 若いときに海洋調査の会社にいたことがあって、そのときによくホルマリンを使った。水中のプランクトンを採取時点の状態に固定するために使う。要は、深度50メートルとか100メートルとか、そういう深さの水をピンポイントで採取する道具があって、その水にホルマリンをぶち込めば、プランクトンが鮮度を保ったまま死滅するというか。ちなみに酸素を固定することもあったり、なんかいろいろやったな。バンドンなんとかって装置で、ゴムとかを使ったシンプルな機構なんだけども、急に装置が外れて手に当たったりとか。冬場なんかは手袋してはいけないので、ムチャクチャ痛くてね。

 ホルマリンって、においはどうだったかな。ちょっと憶えてないけれど、傷とかにかかると痛いんだよね。ささくれとかにホルマリンがかかって。倉庫にある時点では希釈されていないから、現場に行く前に何%の希釈とかって、なんだったか憶えていないけど、なにかでホルマリンを割る。で、そういう仕事はオレみたいな下っ端がやるから、倉庫の実験台みたいなところで何本もそういうボトルを作るんだな。そのときに手にかかったりして、痛いのなんの。

 って、なんでホルマリンの話かっていうと、先日のユーチューバーの心霊スポット同行のときに、もうひとつの候補だった場所が廃病院で。で、事前に調べてみたら、ホルマリン漬けの死体が置いてあったプールがある、みたいな。出たよ、と。

 よくある都市伝説の死体洗いのバイトってやつね。いろいろなところでその話が出てくるけれども、実際にやっていた人が出てこない。話は結構詳細で、ホルマリンのプールに死体が沈んでいて、浮いてくるとそれを沈めるのがバイト内容というね。

 これ、大江健三郎の「死者の奢り」って小説の内容そのまんまなんだよね。バイトが死体を扱えるわけないし、そもそもホルマリンのプールってたぶん目がやられるんじゃないのかな。小説は確か医学解剖用の献体を扱う話だったはずで、だから死体洗いのバイトもまたそんな内容が多い。でも、医学解剖で使うならなおさらホルマリン漬けはないでしょう。

 オレは高校が上野にあった。といっても、根津が近く、東大もすぐ近く。で、無駄に行動力があったから、オレ、高1のときに東大の医学部に電話したことがあるんだよね。死体洗いのバイト、募集してますかって。ムチャクチャ怒られたぜ!