バンコクとタイ家族のこととくだらない話と

タイ在住歴20年のライター・高田胤臣の個人的なブログ

いまどきの若者という発言

 NHKで昔の記録映画をやっててちょっとだけみた。
 戦後すぐのころか高度経済成長期の南千住とか、東京の下町の子どもたちの様子を映してた。みんな、路地に出てきてキャッチボールをしたりして遊んでるの。で、その記録映画が撮られた場所では道いっぱいに子どもがあふれてて遊んでるんだけど、全く同じ場所の現在は閑散としている。静かだ、みたいなことをナレーションだったかレポーターが言ってて。
 ちゃんと、じっくり、観てたわけではないからなんとも言えないけれども、正直言わせてもらえば、何を言いたいのかよくわからなかった。いまどきの子どもは、とか言いたかったのかしら。
 それで思い出したけど、日本でのバイト先の仲間らと飯を食いに行ったとき、仲間内の女性の旦那(当時で50は余裕で過ぎていたと思う)もついて来て。そしてその人がうちらを見て「今の若者はおとなしいね」と呆れ交じりで言っていた。
 言わせてくれ。
 お前がいたから引いてただけだ。
 時代が違うのだから、あんたらの時代とうちらの時代を比べられてもしょうがない。はっきり言ってその世代の若かったころと我々の世代では賢さレベルがかなり違うと思う。決しておとなしくはないよ、いまどきの若者も。ただ、昔に比べて情報量が違うから、わきまえてるだけ。昔では20歳くらいで得る経験や情報が、このご時世では小学校低学年で得られるっていう感じ?
 基準の設定を自分の尺度で設定されても困るっていう話。
 そうはなりたくないな、って思う。
 その記録映画で撮られた状況が、現在の状況と同じなのか。例えば何月の日曜日の何時とかそのレベルで同じか? 記録映画の方が夏休みの午後で現在の方では10月の平日の午前中とかだったら比べようがない。それに道交法だって現在は違うだろうし、みんな塾とかに通わされてるだろうし。
 時代が違う時点で比較はできない。その番組が何を意図して何のために放映されたのかちゃんと観てなかったからなんとも言いがたいけど、ぱっと見でそういう印象を受けた。
 記録映画に出てくる子どもたちと同世代の大人がインタビューに出てきて「昔は近所にいた子どもたちを叱る大人たちは、その中に優しさがあって怒ってくれていた」と言っていた。昔を知らないからそれも何ともいえないけど、そうなんだろうな、って思う。
 でも、逆に証明されてしまったのは、優しさで怒っても何にもならないってこと。当時の叱ってた大人と同じ年齢になった「昔の子どもたち」が優しさを持って叱れてないじゃない?*1
 受け売り→。最近犯罪者の低年齢化がよく言われるが、確かに10年程度の期間で犯罪者の年齢をグラフにしてみると上がっているけれど、戦後から昭和30、40年代に比べるとまだまだ低い。
 だからといって、まだまだいける、とは言わない。悪いことは悪いのだから。でも、若者を批判しないでほしい。意味がない。なんでもできる時代だけど、豊か過ぎて先が見えない時代。若い人たち若い人たちで、何者にもなれない苦しみにもがいている。自信が持てない世代だ。そこを自分のものさしを押しつけてはなお悪い方向にひねくれるだけ。
 大人がひねくれてるからそうなるのは仕方ないことだけど。

*1:みんながみんなそうではないということくらい、俺にもわかる。でも、ま、ここは「最近の若者は」と一括りにしてしまう大人を見習って、一括りにしちゃいましょう