貧乏人でもあるんだけど、パイパーが好きなのは

　タイのウィスキーに100パイパーというのがある。タイのウィスキーというか、タイで売っているものだが。味は大していいものではなく、本当かどうか知らないけど輸入物、でありながら、なんかタイらしい味しかしない。俺の思い出からそう感じるのか、そもそも劣悪なウィスキーなのかはわからん。
　タイのウィスキーと言えば普通はメコンウィスキーやセンソンでしょう。これらは焼酎のような作り方をするらしいが、分類的にはラム酒。なのに茶色い色をして、ウィスキーと呼ばれている。こんなん飲んだら翌日は二日酔い必至だ。そもそも激烈にまずく、コーラとソーダで割らないと飲めない。コーラだけだと甘いし、ソーダだけではまずいからこういう飲み方になったのだろうが、なかなかいい。タイ好きはきっと一度はこのメコンがなんかうまいなと思い、程度の差はあれハマるかハマったのではないかと思う。
　しかし、タイもそこそこ長くなってくるとメコンを懐かしむ気は毛頭なくなるもので。最近俺がときどき飲みたくなるのが冒頭の100パイパーだ。いろいろ飲んでみた結果、問題なく飲める安いウィスキーで最低ラインがこれだった。これより安いのはメコン並みに頭が痛くなる。パイパーはギリセーフだ。
　みんな金持ちになったし、ものが豊富になったので日本のウィスキーとかも手に入るようになったというか、ほかの物価が上がったのでウィスキーが高く感じなくなってお金を出せるようになったというか。ここのところはサントリー角かジャックダニエルか。
　まあ、金もないというのもあるけど、たまにパイパーに戻るのもいいなって思う。まだアムとも知り合う前の超絶貧乏時代はパイパーばっかり飲んでた。家飲みしたり、一度サメット島に行ったときはずっとパイパーだったし、そこにはタイに移住したばかりの懐かしい味があるんだ。
　ビールはビアシンで腹を壊す率が高くなってチャーンにしてみている。クラシックってオリジナルのものなんか劇的に変わった。久しく飲んでない人、試してみ。発泡酒並みにアルコールの味しかしなかった上に悪いアルコールで頭が痛くなったあのチャーンが結構飲めるのよ、ホント。
　でも、ビールって結局高い気がするのね。それに家で飲むんだったら外で生を飲みたいし。家飲みならウィスキー。そして、パイパー。最近ね、こうやって昔を懐かしんじゃったりしているのよ。疲れているの、俺。