バンコクとタイ家族のこととくだらない話と

タイ在住歴20年のライター・高田胤臣の個人的なブログ

タイ軍体験入隊 初日

爆弾を再度セット中

 体験入隊・・・・・・。そもそもはタイの保健省*1のボランティア部門、通称「ナレントーン」*2の訓練ということでわざわざ会社を休んだけど、実は軍事教練だったと。教練というほど大げさなものでもないと思うけどどうなることやら。
 で。
 何がきついって、朝4時半起きの5時半集合。とりあえずいつもの寺でロートさんらと待ち合わせて、タクシーで保健省へ。場所はノンタブリー県。東京で言う埼玉県川口市的な位置。
 到着してみればこれがまた思ったより参加者が多い。我ら報徳堂もいれば義徳堂もいるし、ロムサイという聞いたことのないチームもいたりする。今日は金曜日。平日にこんなに多くの兄ちゃんたちが仕事を休んでくるなんて・・・・・・。そもそも平日に計画するところがえらい。今回、今年の3回目の組。3週連続であったわけだけど、好きな奴は3回とも参加しているらしい。3週連続で休めるところがナイス。
 6時に集合して、出発は7時過ぎ。案の定、タイ人のまとまりのなさがスタート地点で露見。嫌な予感・・・・・・。
 大型のツアーバス4台と自分の車で来たい連中の自前のレスキュー車30台近くの大所帯で、コラート県パークチョン郡近くの施設へ到着。途中、振り返ってみたら、レスキュー車は赤色灯を点け、休憩のスタンドやUターン*3などでは、完全に道路を塞ぎ、バスを優先して走らせていた。VIPですな。
 到着直前、よくアメリカ映画などである、新兵が基地に到着した途端「10秒以内に降りて集合しろ〜!!」なんてシーンを思い出し、そんなん嫌だなぁ〜、なんて思ったら、そこまで極端ではなかったが走らされた。
 か、帰りたい・・・・・・。
 集合させられて並ばされる。
 タイ人は21歳でくじ引きによる徴兵制度があるんだけど、学生時代に教練などの授業を修了していれば免除される。なので、基本、タイ人男子は軍隊の基礎的なところは知っているわけで。俺とハマさん*4は当然知らないわけで。「ラップサープ(わかったか? とか、確認! の意か?)」と教官が言ったら「サープ!」と叫んだり、「わかったら声を出せ!」みたいに言われたら「イヤ〜!」*5と叫んだり。
 そんで、散々時間かかって入隊式やって兵舎に荷物置いて飯食って、で、もう15時くらいになっててはじまったのが、爆弾講習会。
 教官がいろいろと説明する。クレイモア*6もC4*7も全て本物。当然起爆装置などないので叩いても投げてもぶっ飛ばない*8
 ところが。
 これは練習用の火薬で、とか言いながらガンガン叩いてて「ね、爆発しません。爆発したときはこんな音がします」と起爆装置のスイッチをオン。*9
 ドッカ〜ン!!
 俺の座ってた数メートル横に仕掛けられてた火薬が爆発。ものすごい音と衝撃波、清涼なまでに優しい爆風がみんなを襲う・・・・・・。勘弁してよ、4時起きっすよ、俺。
 その後楽しい講習会が2時間近く続く・・・・・・。電話の受話器を上げた途端に爆発するようにセットすることもできますと実際にセットしたけど不発。気を取り直して、練習用の大き目の爆弾に導火線をセットし着火。それをナレントーンのひとりに渡し、みんなでギャ〜ギャ〜騒ぎながら回していく。ある程度導火線が短くなったら危険なので、教官が回収。しかし、爆弾に届くまでまだ長いので教官が導火線をちょっと切ったらハプニング。なんと火が導火線の根元に飛んで着火。騒然とする一同。どう見ても慌ててる教官。また、俺の横の方に投げ、激しい爆発音と衝撃波と爆風。殺す気か? しかし、よく物を落とす教官。定年間近といった感じの人だった。落とすたびにみんな冷や汗。
 講習が終了して、移動開始。ブログ用にみんなが去りつつある中爆弾の写真を撮っていたら、やっぱり電話の仕掛け爆弾が不発だったのが気になるのか、教官が再セット。受話器を上げたら・・・・・・ドカ〜ン!! 頼むよ〜。スンゲェ、耳痛てぇ。
 さて、トイレに行きたかったのに行くタイミングを逃し、パラシュート降下の訓練施設へ。マジ? 明日だと思ってたのに。しかも今跳んだらシッコ漏らしちゃう! と、思ったらちょっとした講習で終了。よかった。
 それから、また足踏みの練習から何やらの集会のようなことを延々やらされ、飯食って解散かと思ったら、裏山へ連れてかれるし。
 もう辺りは真っ暗っすよ。時間はその時点で20時過ぎてたし。何をしたかというと、オリエンテーションというか、真っ暗な山道を班ごと*10で行軍。最初はちょっとテンション上がったけど、10分で飽きる。エアガンとか持たせてくれたらもっとテンション上がったのに。月明かりでちょっと照らされている程度。何にも見えないんだもん、つまらんさ。途中、ナレントーンのスタッフらが仕掛けをしていたりしてたけど全然見えない。しゃがんでしか進めない50メートルくらいはある洞窟にも入ったけど、完全に真っ暗闇。
 というか、このあと間違いなくまた集会やって、今日床につけるのは夜中を過ぎるのではないかと、そちらの方が気になって楽しめない。
 で、案の上、兵舎に戻ったのが0時。30分で消灯ということで、本を読もうと思ったが眠ることに。というか、すでに眠くて読むどころではない。いやいや、片側20名が寝る長い兵舎なのに蛍光灯がひとつでは読めるわけがない。
 気温もかなり低くて、水なんかでは体を洗えない。95%の人が水浴びを断念して寝ることに。
 横になって1分もしないで眠った。

*1:直訳すると「公衆衛生省」

*2:ナレントーンは私設のボランティアレスキューだと最近まで思っていた・・・・・・

*3:タイの地方の道路は中央分離帯を挟んで、本線と側道でできていて、基本的に信号はない。行きたい場所が右側にある場合、かなり進んでUターンをしなければならない

*4:就職して2週間目なのに休みを取った

*5:本当に声を出しているだけなんだろうな。意味はわからない

*6:対人地雷。決まった方向に鉄球が飛んでいく

*7:プラスチック爆弾。映画『ダイハード』でいっぱい出てくるやつ

*8:例えばC4などは火を点けても普通に燃焼するだけで爆発しない

*9:というか、それまでそこに起爆装置があるかどうかなんて誰も知らんかったが

*10:1班約9〜14名。5班1組。今回の参加者は320名。その内30人が女性。俺は運良くハマさんやロートさんと同じ班の2組5班