バンコクとタイ家族のこととくだらない話と

タイ在住歴20年のライター・高田胤臣の個人的なブログ

レスキューバッグがデビューした日

 レスキュー活動中、不運な他人に対して使うのが先かと思えば、まさかの身内でデビューしたレスキューバッグとその中身。
 ネネ嬢が第1号に。


 ことは本日13:36に発生。
 アムがトイレに入っている隙にネネ嬢が扇風機に指を突っ込んだらしい。


 ちなみにうちに扇風機は2台。小さな一部屋のアパートに贅沢にも2台。そしてこんなことも起ころうかとタイにはない扇風機の頭に被せる網々まで日本から取り寄せて、しっかりと2台にネネ嬢のけが防止策を取っていたのに。
 なぜゆえに指が突っ込めたかというと、ネネ嬢、ご丁寧にわざわざ裏へ回り込みくださり、御指をお突っ込みあそばされたわけで。
 日本の扇風機を見なくなっておそらく二桁年数に入っているかと思う。少なくともタイに来てもう5、6年経つわけだけど、その間扇風機の時期に日本に帰っていないし、その前の岡山・倉敷時代もなく、そうすっとその前も1年タイにいたからやっぱ計10年近くは見ていないんじゃないかな。
 だから曖昧な記憶と共に考察しているが、タイの扇風機は頭の金網から羽根までの距離が短いと思う。羽が大径なんじゃないかと。網々カバーを取り寄せたときに姉と話したが子どもの指は羽まで届かないと言っていたし。


 さて会社で客先へメールを打っているとアムからネネ嬢がけがをしたと。
 ぜ〜んぶほっぽりだして自宅へ帰りましたとさ。
 いや、猛烈な勢いで帰ったよ。とりあえず生理食塩水で傷口を洗って待っていろと指示を出し、車に飛び乗ってさ。ビルの駐車場を50キロぐらいでグルグルグルグル降りてさ、外出てもう全開よ。サイレン付けてればよかったな。絶対今度買うんだ。
 レスキューやっててよかった。落ち着いていられるし。車でぶつかりそうになっても前だったらあっと思った瞬間から全身に猛烈な力が入って回避した瞬間ぐたぁっと疲れるというかそんな感じだったけど、最近だとぶつかりそうになってもまず「あっ」って思わない。かなりぎりぎりまでミラーで左右や後ろを確認したり相手の動きを観察しながら避けられる。
 落ち着くっていうのは大切だ。けがをしたというときはいつか来ると思っていた。まさかこんなに早く来るとも思っていなかったけど。それでも数々のけが人と一刻を争う現場を見てきたから、とにかく取り乱さずに済んだ。


 自宅に戻りネネ嬢の様子を見るとどうやら最悪の状況ではなかったので一安心。
 傷は羽が皮を捲り上げた感じでそれほど深くはないし、心配するほどのことでもない。
 とりあえずもう一度食塩水で患部を洗い、日本で買ってきてもらったキップパイロールを塗布し終了。
 ちょっとだけ様子を見て、あとは傷を乾かせば痛くなくなるだろうと、仕事へ戻った。


 しかしネネ嬢は危険なところがお好きで。
 コンセントがたまっているテレビの裏やパソコン近辺、ゴミ箱、ベランダ、もう危ないところばかりに行きたがる。なんてチャレンジャーなわけよ。
 でも、子どもが生まれてわかったことっていっぱいあるんだ。
 扇風機の羽が大径っぽいってこともそうだし、例えば乳母車を押して歩くにはバンコクの歩道はあまりにも不便。今までそんなこと知らなかったし、思いも寄らなかった。
 車椅子や松葉杖で歩く人もきっと不便なんだろうな、バンコクって。
 それも日本だってきっと同じかもしれない。バリアフリーって言ったって、どこもかしこもそうなってるわけじゃないでしょう?
 タイって人が子どもに優しいんだ。日本は行政が優しい。当然、優しいといっても全部が全部じゃないのは言うまでもないよね。国を表わしているなと思うのはさ、イミグレーションね。この前子連れで日本に行ったとき、タイのイミグレは係官たちがさ、子連れだからこっちの空いているところ通っていいよってわざわざカウンター開けて通してくれたりするの。日本はさ、子連れとかけが人とか年寄りのレーンが別にあって、はいそっち通ってくださいね、って。


 まあなんにしても、何もなくてよかったよ。
 それに、救急バッグを準備していてよかった。