ガパオライスならクルックカーウ
バジルライスが日本ではガパオライスで通じるようになっていることにビックリした記憶がある。そもそも、パクチーだって、20年前はシャンサイとかコリアンダーって呼ばれてて、タイ語が広まるとはね。
ガパオライスってのはこんな感じで、適当に盛りつけられるようなお洒落なものじゃない。タイでは、なにも食べたいものが思いつかないときに注文する料理、なんて言われるほど普通のものだ。
店によってはガパオの量が少ないから、後半に米がすっからかんの状態になることも。だから、食べにくいとも思う料理だ。
ちなみにだが、日本で言う三角食べみたいな、きれいに食べる人を見るとオレは微妙な気持ちになる。ある人が、画像のようなカイダーウ(目玉焼き)が乗ったガパオを、最後まで目玉焼き共々きれいにきっちりと食べ終えたのを見たことを思い出すからだ。簡単に言えば、オレはソイツのことが大っ嫌いだったから、男のクセに気持ち悪いヤツと、ホント嫌悪感を持ってしまった。
とはいえ、実際に微妙なバランスで成り立っているので、なんとかうまく食べられる方法はないかと思えば、それがあるのだ。ガパオのクルックカーウだ。
ガパオ・クルックカーウのススメ
クルックとは混ぜるといったような意味がある。クルックカーウでもっと有名なタイ料理はガピ・クルックカーウだろう。ガピという小エビを発酵させた味噌みたいなものを米に混ぜ、野菜や甘辛くした豚肉などを混ぜてしまう一品料理だ。
普通のガパオは中華鍋で炒め、それを皿に盛ったご飯にかける。ガパオ・クルックカーウは、炒めたあと、ご飯を中華鍋にぶち込んでしまう。簡単に言えば、ガパオの炒飯のようなものだ。
ガパオ炒めが満遍なく米に馴染んでいるので、きれいに食べられる。乗せるのはカイダーウのほか、カイチアオ(タイ風卵焼き)もありだ。
オレなんか、アム(今さらだが、妻の名前)が考えるのが面倒という理由で、毎朝市場で買ってきたこれを食べさせられている。
嫌いじゃないからいいし、毎日毎日違うものじゃなければ嫌だというわけもないからなにも文句は言わないが、何ヶ月でも毎日同じものを出してくる。数えたことはないけど、年間の半分は朝食がこれだと思う。
さらに言えば、外食でもなにも食べたいのがなかったらこれを選ぶくらいなので、少なく見積もっても、年間150皿は食べているのではないだろうか。アムがこれを出し続けるようになって少なくとも4年は経っているので、600皿は近年だけでも食べている。タイ人でもこれだけガパオ・クルウクカーウを食べている人がいないのでは?
アムはアムで、一応考えてくれているのか、具材は変えてくる。多いのがムーグロープ(ブタの三枚肉のから揚げ)で、ムーサップ(豚挽肉)とかガイ(鶏肉)の場合もある。
それから、辛さもときどき違う。どう注文しているのかわからないけれども、米をスプーンですくって口元1センチくらいに近づけただけで、すでに唇がぴりっと辛さを感じる。朝食でこの辛さって胃を壊すわ。