バンコクとタイ家族のこととくだらない話と

タイ在住歴20年のライター・高田胤臣の個人的なブログ

刺青祭りが中止だ!

 毎年3月の第1土曜日はワットバーンプラ(バーンプラ寺院)でサックヤン(護符刺青)の祭が開催される。ワイクルーという、かつてこの寺院の住職だったルアンポープン師に祈りを捧げる日だ。

 毎回、土曜の午前9時ごろに30分かからないくらいの読経などがあって、それが終わったら解散となる。このわずかな時間のために数千人が集まってくるのだが、それが熱狂的な人だと前夜から来ている。そして、サックヤンを彫ってもらい、広間で待つこと数時間は、神が憑依して、暴れまわる。

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ハヌマーンが憑依。

 暴れるというか、正面にあるルアンポープン師の像に向かって走り出す。ちなみに、ルアンポープン師の亡骸は近くの本堂に安置されている。ミイラのような状態の亡骸だ。でも、そっちにはみんな走り出さない。

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この人、毎年憑依している。

 ツッコミどころはたくさんある。まず、必ずしも全員が憑依しない。それで、毎年行って同じ場所で写真を撮っていると、だいたい同じ人が憑依しているのがわかる。もう何年も見ているので、数年前は元気だったのに、最近は突進のスピードがやや遅くなっているとかね。さすがに歳には勝てないか。

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基本的にハヌマーンが高速で危ない。

 タイでは小学校1年生から仏教の授業がある。仏教神話とかそういう話だと思うんだけども、要するに、タイで教育を受けているということは少なからずハヌマーンやルーシー(老師)や諸々の、サックヤンでよく使われるモチーフの神々を知っているわけだ。

 そんな知識が裏にあって、そしてここで憑依すれば、そりゃあみんな似たような動きになる。オレとか全然知らない人がそうなったら間違いないけど、そもそもタイ人全員に憑依するわけでもないし。

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みんな、通路を走る。

 あと、みんな通路を走るね。憑依しているなら掻き分けて行ってほしいね。

 そんなツッコミどころはあるにはあるけれども、実際にこの場にいるとその迫力が違うよ。数千人が見守る中、いきなり暴れ出しても誰も笑わない。ま、一部笑う人もいるけど。その雰囲気はすごいよ。

 それで、2020年のワイクルーは3月7日、つまり今週の土曜開催だったわけ。アムに、7日に車を使うから、と伝えると、当然、なにに? となる。ワイクルーに行くって話をしたら、このご時世でやるわけないでしょ、と。まあ、言われてみれば確かに。

 でも、この日なんか、百人単位で洗わない針を使って刺青するんだぜ。そっちの方が感染症とかヤバいでしょうが。だから、新型コロナウィルスなんて問題なし、と思ったら。

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中止のお知らせ。

 これだよ。ワットバーンプラから、今年のワイクルーは中止というお知らせが。いやあ、見てよかった。行ってからやってませんじゃ、シャレにならないし。新型コロナウィルスの影響ね。タイはあまりイベント中止になっていない(ような気がする)から、やると思ってたし、むしろ最も中止から遠いイベントだと思ってたよ。

 残念だ。ホント、見てよかったわ。