バンコクとタイ家族のこととくだらない話と

タイ在住歴20年のライター・高田胤臣の個人的なブログ

すごい記事を見た

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エラワンの祠。

 先日、すごい記事を見た。ちゃんと読む気にもならない。基本的に記事内容に関してはあまり声に出して批判したくない。その記事が出るまでの間に苦労とか思いがあるということを同業者なのでわかるからだ。

 いいものは褒めて、悪い記事は心の中で思うだけにしたい。それが建設的だし、はっきり言って、悪く言う立場の方がずるいからというのもある。悪く言う人は大概本名も顔も出していない。責任なんて負う気がない。批判の根拠もない。単に自分との考え方が違うのであれば、それも悪く言う根拠にならない。人はそれぞれ考え方が違うというのが前提にあるからだ。

 発信する側には言論の自由がある。でも、批判も言論の自由と思われるかもしれないが、根拠があって、論理的に悪く言えないなら、それはただの嫌がらせであって、言論ではない。だから、そちら側に自由な発言をする権利はない。

 とはいえ、今回読んだ記事はなんか浅すぎてひどかった。だから、なんか言わずにはいられない。要は、バンコクもテロに警戒しなければならない、という内容だった。概ね間違っていない。バンコクでも爆弾事件は起こっている。だから、警戒の必要はあるけれど、それで言えば、東京の方がもっと危険だと思う。なぜなら、誰も警戒していないからだ。テロリストが容易に潜入できて、いくらでも破壊工作ができる。バンコクは東京よりはまだ警戒していると思う。

 でも、バンコクで起きた事件で、一般的にイメージされるテロって、数年前のエラワンの祠の前だけでないかい? 南部のテロも確かにイスラム教徒の若者が聖戦として爆弾を使っているけれども、中東とかのイスラムのテロとは事情が違う。バンコクで起きたテロはまだ解決していないけれども、大方の見方としては中国に対するものであって、対タイという感じではない。

 ほかにも何回か爆弾事件がバンコクで起こっているが、これも反政府デモ中の出来事で、一般的に言うテロとは違う。それなのに、その記事はバンコクはテロが常に起こりうるみたいな感じで書かれていて、なんかちゃんと取材して、ちゃんと背景を調べて考えてから書いてほしいと思った。

 これだと、オレが高校生のころに出始めた言葉に「援助交際」ってあって、女子高生が売春しているとよくメディアに書かれていたころの浅はかのおっさんどもに通じる感じになってしまう。女子高生や女子大生はみんな援助交際していると思っていて、いい年して女子高生をナンパするおっさんが後を絶たなかった時代がある。

 あるいは、タイに遊びに来るおっさんたちがタイ人女性がみんな売春婦だと勘違いするのに似た論調だと思う。たったひとつの事件を見て、それがすべてみたいに言われちゃうと。しかもこんな時世だ。鎖国状態が終わったときにいち早く必要なのは外国人旅行者と外貨だ。ここでタイが要テロ警戒国みたいに言われるのは残念でならない。

 いや、なくはないから、大きくは間違っていない。でも、極論過ぎるというか。その論調で記事を書くには、バンコクのテロ事件が少なすぎる。そんな風に思った。