バンコクとタイ家族のこととくだらない話と

タイ在住歴20年のライター・高田胤臣の個人的なブログ

黒田のファームに行ったときの話

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 エカマイの黒田は娘がまだ小さいころに何度も行った。食べ放題なので、和食に慣れていないタイ人を連れていくにはちょうどいい。注文したくてもなにがなんだかわからないからブレーキがかかるが、食べ放題ならとりあえずトライできるし。和食ブームの火付け役ともいえるオイシも、サイアムディスカバリーのレストランは食べ放題だったしな。

 娘の誕生日とかにアムの家族も来るし、タイは主役が払うのが基本。さすがに娘は稼ぎがないし、オレが払うってことだな。でもさ、あいつら、普通の日もいつだってオレに払わせるけどな。

 確か、最初に行ったときは地鶏の鳥刺しも食べ放題メニューに入ってたと思うんだけども、2回目からは外されてた。アムの出身地であるコラートの方が本店なんだけども、そっちも同様に食べ放題メニューに入っていない。そこだけだな、残念なのは。

 かつてはフジスーパー1のソイにもあったけど、今はバンコクはエカマイだけなのかな。でも、焼肉もやっているみたいで、店内は結構広い。オレが娘を連れて行ったときよりも大きくなっている。

 そんな黒田は、元々は地鶏のヤキトリが人気だった。自社農場で育てている。タイは日本のいわゆる軍鶏の発祥とされている。でも、実際にはタイだって地鶏は育てるのに時間がかかるので、流通には乗せにくい。だから、案外と地鶏を食べられる店は限られている。

 そこを黒田の社長が日本の鶏とタイの地鶏を掛け合わせえて育て、大きな地鶏にして採算を合わせている感じか。ちなみに、黒田の社長は黒田さんかと思いきや、田中さんである。いっつも黒田さんって呼んでしまう。

 何年か前にヤキトリ特集を書くために、黒田の自社ファームを取材させてもらったことがある。品種改良した、黒田だけの地鶏の小屋は驚くべきことに無臭だった。フンの臭いとかありそうなものだが、清潔できれいだし、鶏も元気で羽がきれいだった。

 ほかにイノシシと豚の掛け合わせだとか、大きな牛もいたし、まあ、素晴らしい農園だった。

 そんな農園にはしばしば、日本の大学生がオーガニックの勉強をしに押しかけてくるのだとか。田中社長は結構寛大で、そういった人を受け入れてあげているようで。まあ、オレみたいなのの取材もOKしてくれるくらいだしな。

 もちろん大学生は自力でここまで来た上でならってことなんだけども、結構な田舎にある。オレなんかはタイ語もできるし、アムがコラート人だからなんとも思わないけど、海外慣れしていない大学生には厳しいみたい。

 取材したときにちょうど大学生がいて、彼は翌日バンコクに戻るみたいだった。もうね、疲れ果ててたね。顔が死んでいるの。オーガニックとか言っている場合じゃないじゃんか。やめちまえよ、そんな勉強ってくらい。

 で、田中社長が案内してくれる間も死んだ顔でついてくるんだけど、途中の巨大イノシシが寝ている小屋の前で、まあ、やるよね、千と千尋の神隠しのあのシーンのマネは。お父さんお母さん、食べすぎないでね、みたいなシーン。そして、オレの渾身のモノマネをして振り返ったら、一緒に行った西尾さん(当時の編集長)は爆笑だったけど、学生、能面みたいな顔してたわ。やめてしまえよ、オーガニックなんか!