バンコクとタイ家族のこととくだらない話と

タイ在住歴20年のライター・高田胤臣の個人的なブログ

2:26 傷害事件発生

 無線ではなくラマ9の隊員からボスの携帯電話に連絡。
 場所はスティサンのすぐ近く。ディスティニーという小さなパブだがかわいい店員さんがいっぱいいるということでハマさんとハマさんの職場の日本人チームらに馴染みの店だという、そんなのがあるなんでもないソイの中。ハマさんはこれからどこに行くのだろうと無線に耳を傾けたりしている中、俺は俺の携帯にコピーしたとっておきの1曲をハマさんに聴かせる。
スネ夫が自慢話をするときのBGM フルバージョン
 緊急出動中になんとものんきな音楽と迷惑そうなハマさんの顔。
 さて現場はソイの半ばにある比較的新しめのアパート。
 アパートのロビーでは女の子が泣いている。結構かわいい。被害者のガールフレンドかと守衛に訊かれているが違うと言っていた。
 なんか、おもしろそうな匂いがする。
 そして現場へ。
 現場はアパートの一室。部屋は少々荒らされているが、すごいのはドア。どうやら蹴破られて加害者が入ってきたようだ。ベッドの横で座り込む男性。そのほかに警官なのかアパートの人なのかレスキュー関係の人なのか全然わからない人が3人と、女優さん? って思うくらいの美人なお姉ちゃん。
 被害者はまあイケメンなのだろう。背も高く着ている服や部屋のセンスがよく、金持ちなのではないだろうか。20代前半から半ばの感じ。
 美人が男になんか言っている。強姦しちゃ、いけないのよ。確かにそう言っていた。
 なにをやらかしたんだ、こいつ。下にいた女の子を強姦して逆襲されたんか?
 よく見ると手錠をされている。ということはここにいる人たちは警官か?
 とりあえず、ケガの手当。もっともっと現場の会話を盗み聞いていたかったが、盗み聞こうと勇んで先頭で入ったためにケガの手当をすることに。振り返ればハマさんがその次。ハマさんも盗み聞きしようとしていたと思いたい。で、ハマさんと手当。そんときにわかったんだが、なかなかケガの手当をさせてくれなかったのは手錠を外そうとしていたから。鍵がなく針金で。え? この人たち、誰? そんで5分くらいかかって手錠を外した。一般人が針金で手錠を外せるって、それもどうかと。手錠のクオリティー低すぎだろ。
 まず、頭頂よりやや右後ろがぱくっと割れている。左まぶたの横は少々。一番酷いのは上唇の真ん中から少し左寄りから斜め45度に向かって鼻の穴のある高さ辺りまでバックリと割れている傷。どんだけ殴られたんだよ。
 手当が終わり、病院へ行かなければならない。縫わないといけないからね。
 そんで、IDとか持って来なきゃいけないよと言うと探したがみつからないらしい。どうやら加害者が持っていってしまったらしい。
 さて部屋を出ようというときに、最初にいた謎の3人のうちひとりがもうひとりを呼んで耳打ち。すぐなんの話しているのかわかったよ。こういうときはひとつだもんね。そしていろいろと見て歩く謎のふたり。
 テーブルの上に吸引器発見。
 クスリ関係っていうのはホント多いよなぁ、タイは。
 パーティーやってたのか、と問い詰められる彼。いやはや踏んだり蹴ったりですな。知らない知らないと言っていたが、まあ知らないでは済まないでしょう。幸い警察が来ていないから、病院まで連絡される前に逃げちゃえば尿検査は逃れられるけど。
 エレベーターで降りているときに被害者が謎の3人たちに、最初に来た奴は警官なのか? と。なになに? なんの話? ねぇ、なんの話?
 1階につくエレベーター。
 開く扉。
 その横には美人の彼女と中年の男性。おそらく彼女の父か兄。いやはや踏んだり蹴ったりですな。一難去ってまた一難どころか三難目じゃないかね。
「誰にやられた?」
 と、チンピラみたいな美人の身内。誰だか、知りません、と明らかにびびりながら応える彼。
「いったいなにがあったんだ?」
 なんでもないんです、ホントになんでもないんです。
 なんでもないわけがない。
 そして四難目。
 警察到着済み。
 そんで、守衛同士が、警察って言われただけで身分証も見ないでなんで通しちゃうんだ、っていう会話を聞いた隊員がいて推測するに下記がこの事件の流れ。推測ね。

  1. イケメン、女の子を連れ込む
  2. 女の子の男が怒り狂い、居場所を突き止めてやってくる
  3. 警察だと名乗り、守衛が入れてしまう→1難目
  4. ドアを蹴破ってぼっこぼこに→2難目。手錠およびドアの蹴破り方の鮮やかさから俺は本物の警官と推測
  5. のちのちいじめるためにIDを持ち去る→2難目
  6. 本妻登場してしまう→3難目
  7. クスリがばれる→4難目
  8. 本妻の父(兄?)登場→5難目
  9. 警察登場→6難目

 このあと警察にクスリの件で追求され、さらには彼女の身内にぼこぼこにされ本妻に振られるという3難が待っている。
 彼と本妻らは自分らの車で病院へ行ってしまった。
 警官がそれを追求しなかったことと、女の子も一緒に病院へ行かなかったことを見ると上の流れはほぼ間違いないのではと思う。
 ただ、なぜ加害者はあそこがわかったのだろうか。たぶん女の子が頭がよくなくて言ってしまったか、発信器もしくはGPSの携帯かなんかでばれたか。もうひとつ、上の流れとは少々違うけど、本妻が送り込んだ可能性もなくはない。まあ、全部推測だけど、さ。
 バンコクは恐ろしい街なのです。みなさんも気をつけてください。