バンコクとタイ家族のこととくだらない話と

タイ在住歴20年のライター・高田胤臣の個人的なブログ

MP飯が意外とうまい

 タイ料理は調味料をふんだんに使うため、味が濃い。それ故にわかりやすい味とも言え、万人受けしやすい。日本人でもタイ料理好きは多いと思う。

 ただ、濃いから毎日食べるというのは結構きつい。旅行では毎日食べたっていいかもしれないが、数ヶ月も毎日食べられるかというとかなり難しい。栄養のバランスも和食ほど取りにくい。タイ料理以外は高いし、自炊もできないアパートやコンドミニアムだってあるし、そもそも自炊は食費が高くなる。

 ちょっと話が変わるが、ノマドワーカーとかがブログなどでバンコク数万円生活みたいなことを書いたり、日本のテレビがワーキングプアの女性がタイに移住する話を追うが、あれはほぼ虚構だ。仮に寿命を縮めながら屋台だけで過ごすとしても、外国人は月間で5万円でも暮らせないだろう。

 同時に、今のタイは和食店が充実しているのはご存じの通りだ。だから、ある程度食費がかかるものの、外食でも栄養バランスを取りやすくなってきた。

 オレなんかは家で食べる場合、自分で作るか、アムが知っている日本の料理を作る以外ではタイ料理ばかりになる。だから、外食は基本的には和食、あるいはタイ料理以外を選択することになる。結果、おいしいタイ料理店を知らないということになる。オレなんかよりも観光客の方が知っているんじゃないかな。

 まったく知らないわけじゃなくて、昔からあるようなところは知っている感じ。アップデートされないので、そこが潰れてしまえばもうほかにアイデアがないというか。

 ただ、まずいところは知っている。タイ料理は先述の通り、調味料の味なので本来はまずく作る方が難しい。なのに! まずい店がある。そこには固定客が着きにくい場所という共通項がある。バスターミナル、高速のサービスエリアだ。

 バスターミナルは地方だとまずいということがあまりないけれども、バンコクのターミナルは大概まずい。

 サービスエリアは、そもそもタイに少ないのでわかりづらいが、スワナプームからパタヤに向かうモーターウェイはひどい。バンパコン河を渡ったところにあるサービスエリアで、そこはとにかくタイ料理禁止エリアと言っていい。ここならマクドナルドなどファストフードしか食べてはいけない。

 長距離バスが立ち寄るサービスエリアも大体ひどいね。それから、空港はひどいというか、高すぎて、クオリティーと価格が見合っていないので、やっぱり食べるべきではないかな。

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シンプルなカオパット。

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手羽から揚げ。

 前置きで1000文字超えてしまったけれども、ここからが本題だ。

 まずいのは上記のような人の流れがあるところで、おいしいところは固定客があり、かつタイ人が行くところだ。屋台や食堂、レストランなら口コミやネットでいくらでも探せる。そのうち、先のまずいところのように条件で漠然と考えると、案外、MP飯がうまいのではないかとオレは思う。

 MP飯と呼ぶ人がほかにいるのかどうか知らないが、簡単に言えば、マッサージパーラーで食べる飯である。MP、すなわちマッサージパーラーで、日本ではソープランドと呼ばれる風俗店だ。

 MPは本来はタイ人向けの風俗店だ。そのため、ロビーにはカフェー(喫茶店ではなく、昔ながらのタイ歌謡ショーつきレストラン)やレストランが併設されている。店によってはここまでなら女性も問題なく入れるし、そのMPで働く女の子を隣に座らせて食事もできる。

 こういったレストランのタイ料理が案外にうまい。最近、ある雑誌で「世界のタズヤン」のコラムを担当していて、一緒に取材に行ったときに郊外のタイ人向けMPでタイ料理を食べる機会があった。

 オレは中には入らないので、レストランで待機して、そのときに食べたのだが、たとえばシンプルな「カオパット」、つまりチャーハンなんかが絶品だったりする。それから、手羽先のから揚げとか。ナンプラーに漬けているので、意外と旨味があっておいしい。

 ま、要するに、タイ料理でうまい店はタイ人に訊けってことだ。そこそこの年齢で、金持ちの男なんかは結構うまい店を知っている印象をオレは持っている。