バンコクとタイ家族のこととくだらない話と

タイ在住歴20年のライター・高田胤臣の個人的なブログ

カオマンガイのおいしいさとは

 カオマンガイは、かつて働いていた渋谷のタイ料理店では「蒸し鶏のせご飯」だった。ちなみに、コギャルとかの全盛だった時代で、オレは遅番だったのであまり女子高生に会うことはなかったけれども、たまに夕方に出勤したときに女子高生に呼ばれ、

「この、のせご、ってなんですか」

 って訊かれたのはいい思い出だ。蒸し鶏とのせごと飯か。なんか豪華だな。

 でも、実際にカオマンガイは豪華な料理だ。鶏をまるまる煮て、その煮汁でご飯を炊き、あまった汁はスープとして飲む。鶏のフルコースである。

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典型的な屋台のカオマンガイ

 カオマンガイは奥が深く、煮るための水にどんなスパイスや香草を入れるか、タレになにを使うかなど、単純なようで難しい。

 発祥は中国の海南島にある「海南鶏飯」で、海南人がマレーシアやタイ南部に渡ってきて、それがバンコクに伝わって全国区になったとか。そのため、タイの飲食店ではレストランによって英語表記がハイナミーズ・チキンライスかシンガポール・チキンライスになっている。テレビで観た知識だが、シンガポールではカオマンガイは家庭料理で、スパイスのキットを使うものの、自宅で作って食べるものみたいね。

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東京で食べたカオマンガイ

 カオマンガイでおいしい店はどこか。一般的には、というかおそらくタイで一番売れているカオマンガイは「ピンクのカオマンガイ」と呼ばれるプラトゥーナームのカオマンガイだろう。

 でも、確かにおいしいが、微妙なところだ。一時期は渋谷にフランチャイズとして進出で話題になった。日本滞在時に行ってみたけれど、フランチャイズらしさの欠片もなくて驚いたね。勝手に名乗っているのではないかというレベルでまったく違うものだった。まあ、本店は決してまずくはないけれど、まあまあかな。

 それだったら、その近くの緑色のユニフォームの店の方がおいしいとオレはあの辺りに住んでいた十数年前から思っているよ。

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緑のカオマンガイ

 そういえば店の名前知らないな。画像でわかるかなと思ったら、ちょうどロゴがぼやけている。手前を見るとクアンなんとかかもしれないね。

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モンティエンホテルのカオマンガイ

 かなり暗いけれども、パッポンの向かい側にある「モンティエンホテル」内のレストランで食べられるカオマンガイも有名だね。300バーツくらいするのでかなり高めの設定だが、ボリュームがすごい。

 観光客はあまり知らないが、こういう食べ方もカオマンガイにある。屋台でも食堂でも、タイ人は大人数で行った場合に、鶏を大皿で出してもらって、茶碗や皿にひとり分のご飯をもらう。単に載せているか載せていないかの違いだけだが。

 モンティエンのカオマンガイもおいしいが、でもオレが最も好きなカオマンガイはウドンタニのアパートの下の普通のカオマンガイ店だ。別になにってわけではなく、極めて普通のカオマンガイなんだが、これがなぜかオレの味覚とすこぶる相性がよかった。

 逆に最もまずかったカオマンガイラオスのだ。ビエンチャンで食べたのだが、全然おいしくなかった。しかも、ラオスはタイよりも物価が高い。だから、なんかまずいのに高いという悪い印象しかない。

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普通のカオマンガイ

 ところで。

 カオマンガイって、なにを持ってしておいしいと判断するか。

 普通なら鶏肉と答えるところだろう。これは日本人や外国人が言うことだ。タイ人たちはカオマンガイの善し悪しをご飯で判断する。鶏の脂ご飯「カオマン」がおいしいかどうかが決め手なのだ。

 日本人とタイ人の食習慣というか、味覚の違いである。