バンコクとタイ家族のこととくだらない話と

タイ在住歴20年のライター・高田胤臣の個人的なブログ

一番おいしくて合理的な肉の食べ方

 日本は食生活が豊かで、なんでもある。スーパーとかで揃うものでできないものってないのではないか。鮮魚売り場なんかは刺身前提で魚が売っているとか、タイではありえない。タイのスーパーなんかでまず生で食べられる鮮度の魚なんて置いていないし。日本人向けとか、輸入物の高級スーパーならまだあるだろうけど。

 肉もそうだな。鮮度ではなく、種類の多さ。まず、ローカル向けのスーパーに牛肉がないもの。いや、シチューとかそういうものに使える筋だらけの肉とかならあるんだけども、ステーキにしたりとか、日本式の焼肉にする肉はまずない。あってもかなり固い肉なので、日本のようには食べることはできないでしょう。

 調味料とかほかの野菜、冷凍食品、総菜とか、なんでもかんでも、日本のスーパーはすごい。

 でも、やっぱり日本に長くいると、だんだんそういうのに慣れてくるよな。それが当たり前になる。オレなんかはタイが長いし、今ほどはなにもない時代からいるから便利になったと感じるけど、それでも日本と比べてバンコクはまだまだ。とはいえ、長くなるとその感動も薄れていく。

 結果、食べるのが面倒になってくる。オレはひとりのときはあまり食べないんだけども、誰かが作ってくれると食べてしまう。タイだったらアムがいるからいろいろ食べるけど、アムが子ども連れて帰省しているとなにも食べない。独身のときも友人がいれば食べるけど、ひとりでは食べない。

 これって、日本の癖なんだと思う。日本だとひとりで飲食店に入れない。家にいても面倒だから作らない。でもこれって、今こうして日本が長くなってわかったのだが、単に食べること自体が嫌になっているからだと思う。飽食の時代と言われたのはもう昔かもしれないけれど、オレの中ではそんな感じで、食べることそのものがなんか嫌になってくるのかな、と。

 とはいえ、まったく食べないわけにはいかない。これは独身のときもそうだったが、食べるのも面倒だし、洗いものも面倒。で、行き着くところは結局、調理器具からそのまま食べる。鍋とかフライパンから直に肉や料理を食べてしまう。これが一番効率的だ。

 そして、この食べ方がなんだかんだ言って、一番おいしいと思う。つまみ食い的な背徳感とかもあるし。コンロの前で立って食べる。肉なんか熱くて口をやけどするけども、それがいい。ステーキとか厚い肉は難しいけど、普通の薄切りの肉ならさっとフライパンで炙って食べられるし、それがまた一番おいしいタイミングを逃さない。もちろんタレとかは使わない。塩コショウ程度で。元々焼肉でもタレを使わないからな、オレ。これがちょうどいいのよ。