バンコクとタイ家族のこととくだらない話と

タイ在住歴20年のライター・高田胤臣の個人的なブログ

生春巻き

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 生春巻を初めて食べたのっていつだろうな。たぶんだけど、99年とか。タイ料理店でバイトしてて、その関連でベトナム料理に行ったとか。偵察じゃないけど、ほかのアジアンレストランってどんなんかなって思ったのかな。

 あるいは、新大久保だったかにあったアジア食堂みたいな。各国の料理店がフードコートみたいに座席を囲んでいて、そこの店員がみんな一斉にPRしてくるの。ああいう感じがおもしろいって思う人も多かったのかもしれないけれど、オレは二度と行かないと思ったね。サービス最悪すぎるだろ。しかも、そんなに安くないし。

 たぶんその辺りで生春巻を食べたと思う。でも、全然憶えていない。というのは、たぶんタイの生春巻の思い出が強かったからかな。

 タイで春巻きはポーピアと呼ぶ。ポーピア・トートなら揚げ春巻きだ。揚げ春巻きはどこにでもあるし、まあだいたいおいしい。で、ポーピア・ソットと言えば生春巻になる。ところが、タイの生春巻はベトナムの生春巻とは全然違う。

 ベトナムの生春巻は米粉で作ったシートに包む。シート自体は完全にドライだけど、エビとか野菜を包むとその食材の水分で皮はしっとりとする。弾力もあって、なんともいえない食感になる。これがベトナムの生春巻の魅力だ。むしろベトナムなら揚げ春巻きよりも断然生春巻がおいしい。

 タイの生春巻はなぜかそういう感じではない。そもそもそんなに見かけない。あっても、米粉で作っているのかどうかすらわからない、変な皮で包まれていたりする。パッと見た感じではなんか小麦粉で作った、薄い感じのもの。クレープみたいな感じならまだいいんだけれど、そんなんでもなくて、なんかパッサパサの感じで。

 あのころにタイの生春巻にショックを受けて、以来、生春巻からは遠ざかってきた。タイでは一切探すことはしなかったし、稀に見かけても絶対に頼まない。なんでだろうなあ。米粉はあるんだから、タイでだって同じような生春巻のシートは作れるのに。実際、スーパーにも生春巻のシートは売っているけどな。タイ製なのかどうかはわからない。なにせ、生春巻にタイでは近づきたくなくて、それを手に取ることはないから。

 もしかしたら、オレが食べた店だけがそういう変な生春巻だったのかもしれない。確かMBKのフードコートだったはず。まだ今の状態になる前の、古くて汚かった時代の。

 その後、ベトナム通いが始まってからは一時期は生春巻ばかり食べてたな。今もたまに昼から飲んじゃうときに、バーで生春巻を頼んじゃったり。生ってつくと途端においしそうに見えるしな。ベトナムの生春巻は安心だし、ひと口目はいつも感動する。

 ああ、早くベトナムに行きたいなあ。